さて、何から始めるのか。

プログラマティカの新しい活動を何から、どこから始めるのか?を考えつつ、この10年間やってきたことを「棚卸し」などしてみる訳ですが、5年も6年も前にやっていたことは正直ほぼ使えません。せいぜい、2〜3年くらい前まで。でも、物事の考え方や定理みたいなモノは大きく変わらない気がしています。なので、良い機会だと考え、これまで自分の作ってきた資料を懐かしの浪漫紀行的に一度読み返してみたいと思います。

さて、直近の課題は新しいオフィスをどこにするか?ということと、当面の活動資金の調達。まずはこの2つです。今回のコロナ禍においてリモートワークがその言葉だけでなく、実際の働き方としてもずいぶんと浸透した気がします。実は私も以前から、そんな働き方が少なくなかったです。しかし、かと言って、完全にオフィスが無くてもやっていけるのか?は別問題。「New Normal」な世界では(まだそれがよく見えてないけど)オフィスって必要だったのか?という考え方もあるようですが、法人としてビジネスをやっていく上ではメリットは簡単に理解できても、デメリットはこの短期間で完全に把握しきれません。しかも、家族を持つ身、周りの目というものもありますしね。オフィスはどこかに借りることにします。

次に資金調達。これが一番頭を悩ませます。いろいろと世の中的にタイミングが悪すぎますね。日経平均は一旦“有事前”近くまで戻しつつありますが、各所にさらに影響が出てくるのはこれから。アフターコロナへの投資か?守りか?となると可能性は半々よりややビハインドでしょうか。それは仕方のないことです。

でも、サラリーマン役員の自己資金だけではやりたいこともやり切れなくて後悔するのも嫌ですから、選択肢は「第三者割当増資」「自己株処分」「融資」の3択でしょうか。どれも簡単には行かないと思いますが、非上場なので公募での第三者割当は現実的に無理として、その他の中で考えていくことにします。

いろいろと課題が多い方が生きてることを感じられて人生が楽しいし、10年前もコトは違えど、こんな感じのスタートだったなぁ〜と懐かしく、自分の中では微笑ましい。そういえば、初日に立ち上げメンバー分のパソコンを一人でビッグカ*ラに買いに行ったことを思い出しました。。状況的にはもう一回やり直しなのだとわかっているけど、人生にはやり直しはないのだから前進するしかないですね。まあ、厳しい状況の方が自分自身もグッと燃えて来るタイプので、7月からは具体的な解決策を考えて行くことにします。

 

それはそうと、みなさま、引き続きご健康にはお気をつけください。油断大敵。

 

楳田 良輝

これからのプログラマティカ。

プログラマティカ代表の楳田です。

もう夏日を超え「真夏日」に近いくらいの暑い日差しですが、本日、デジタルインテリジェンス(DI.)の7月1日付の役員人事がリリースされました。2011年10月にDI.へジョインし、2018年11月からは社長職を拝命しておりましたが、この度その職を退任することとなりました。11月まではDI.の役員任期も続きますが、これからはプログラマティカを活動の軸にして、また頑張っていきたいと考えています。みなさま、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、このプログラマティカ。元々はDI.のコンサルティングと連携する形で、広告主のみなさまのマーケティング戦略に則った広告運用や人的支援などを主な活動としてきました。しかし、今後は少し事業の形態も変えていく必要がありそうです。その具体的な形態などはまだ決まってはおりませんが、ひとつ「テレビCMのDX化による市場機会」には注目しています。

すでにご存知の方も、そうでない方もいっらしゃるとは思いますが、テレビCMは新時代を迎えています(迎えました)。2018年4月にNTVさんが開始したASS*(現在はSAS*に名称変更)は、これまでに無かったテレビCMの新しい活用機会を創り出し、さらに透明性を高めます。海外では「チェリーピッキング」などとも呼ばれるこの新しい枠単価セールスが、テレビCMおよびテレビCMバイイングの世界に大きな変化をもたらします。

*ASS:アドバンス スポット セールス
*SAS:スマート アド セールスについては、このプログラマティカのサイトでもまたご紹介を載せますが、DI.側で書いたご紹介・解説をご覧ください。
SAS(スマート アド セールス)はこちら

 

プログラマティカが考える「テレビCMのDXによる3つの市場機会」

従来の「サプライチェーン型」(垂直型)だったテレビCMのバイイング・フローは、SASを皮切りとするDX化により「ブロックチェーン型」(自律分散型)へと早晩変化することになると予測しています。その際に、プログラマティカとしての市場機会が3つ生まれます。

・バイイング・パートナー(広告主)
・プランニング・パートナー(広告会社)
・インハウス・パートナー(テレビ局)

これらの3つの市場機会に、これまで培ってきた独自のメソッドやノウハウを最大限に活用し、プログラマティカが必要とされるポジションを創っていく考えです。事業計画書は概ね出来上がっていますので、それぞれのパートナーとして「なぜ、プログラマティカが必要とされるのか?」「どんなことをやるつもりなのか?」など、公開できる範囲でこちらのブログでも書いていきたいと思います。プログラマティカの新しい活動に、どうかみなさまのお力をお貸しください。よろしくお願いいたします。

まずはご挨拶まで。

 

最後になりましたが、新たにDI.の代表取締役社長となりました戸村恵太氏は、東京から見た自宅の方角が近いこともあり、今後も協調しながらお互い頑張っていくつもりです。戸村社長およびDI.へのご支援も併せてよろしくお願いいたします。

 

株式会社プログラマティカ
代表取締役社長
楳田 良輝

 

テレビCMの新時代が始まった。

テレビCMの第三の選択肢、ASS*(アドバンス スポット セールス)開始から2年、当初からこの新しいCMバイイング方法に注目し、2019年4月に「枠ファインダ」が採用されてからは実際にクライアントにもご活用いただいている。ただ、枠ファインダをそのまま利用するだけでなく、デジタルインテリジェンス(以下、DI.)独自の活用方法も模索してきた。当社はデジタルマーケティングのコンサルティングを生業としている。その中でテレビセカンドオピニオンとして従来の視聴率以外にも、サードパーティが提供する「CM視聴率」や「視聴質データ」など、幾つかの新しいテレビ視聴データを用いてこれまでに無い分析レポートやテレビCMの活用コンサルティングなどを数多く提供してきたからだ。

*ASSは2020年2月にSAS(スマート アド セールス)に名称変更(以下、SASと表記)

 

SASの詳細はこちらから

 

SASはコンサルティング会社としても悩ましかった「欲しい枠」を実際にそのまま買えることが本当に素晴らしい。分析すれど打つ手なし、故に分析もどんどん曖昧になる。そんなことの繰り返しだった広告主の方には、ぜひSASを試されてみることをお勧めする。

実はテレビCMは非常に安定した特性を持っている。例えば住宅メーカーがM2(男性35〜49歳)をメインターゲットにスポットCMを行う場合、全日型のCMプランでM2含有率は概ね45〜50%、少し%コストを上げて逆L型にすると55%前後までは獲得できる。(ここでの含有率とはM2視聴率を世帯視聴率で割った数値)投下GRPが過少の場合には少しブレが生じることもあるが、一定以上の投下量では大きな差は出ない。逆にいえば、従来のプランニングのままでは含有率は大きく改善されない。デモグラは比較的規模が大きいため含有率が平準化されるという側面もあるが、既存のCM取引では「欲しい枠」、つまりM2含有率が高い枠だけを買える訳ではないので、高低差が相殺されて一定の範囲に収まる。

しかし、実際の個々の枠(番組やCMタイミング)のM2含有率は20〜80%とその幅はかなり広い。図1は在京5局のM2平均含有率が50%以上で、年間のバラつき(偏差)が小さい時間帯の当社独自の比較表である。局ごとに特徴が少し異なるのがご理解いただけるだろう。「含有率」は個人全体視聴率や実数ベースでも指標化するが、いずれにせよSASではこれらの枠を直接選択してバイイングできるのである。(SAS枠は毎月変わり、在庫も常に変動する)

図1

DI.では「テレビCM×デジタル広告の統合プランニング」として、デモグラ視聴率以外にもSAS内で利用可能なVR CUBICデータなども使用する。例えば、自動車興味関心層から「普通車」と「輸入車」をそれぞれ500GRPでバイイングする場合。シミュレーション%コストは普通車セグメントが141,000円、輸入車が144,000円となる(2020年2月枠)。個人全体視聴率500GRPの場合は137,000円なので、輸入車が一番高くなる。(輸入車>普通車>個人全体)しかし、実際のCMプランでは土日枠が共に高い接触率(視聴率とほぼ同意)の普通車と異なり、輸入車では効率が低下する土曜日の昼間(8時〜17時)の枠を排除することができる。輸入車興味層が土曜日には必ずゴルフに行くとは考えてないがデータで効率が悪いことがわかる。個人全体視聴率やデモグラ別含有率だけでシミュレーションする場合とではCMプランもまたさらに変化する。そして、この「興味関心属性」のままテレビCMがバイイングできることが非常に重要である。

これまでテレビCMに限らず広告業界ではデモグラという間接的なターゲティングを行ってきた。ブランド側はターゲットプロフィールを作成したり、ライフスタイルや意識クラスターなども設定したりするのだが、メディア選択・バイイングの時点で、あるいは到達評価などを行うためには間接的なデモグラに一度変換しなければならなかった。しかし、SASでは連携される各種データから最適な枠を直接バイイングできる。当然、テレビCMはメインターゲット以外の周辺層にもリーチするので%(パーセント)から実数把握をすることで、メインとサブ、各ターゲットの評価指数を設定し、「総量価値」を試算してバイイングができるようにもなってきた。

かたやデジタル広告では興味や意識などのデモグラではないターゲティングでバイイングすることがすでに可能であった。しかし、より大きな予算を投下するテレビCMが、これまではデモグラでさえもバイイングできなかったため、テレビCMとデジタル広告を統合評価することはもちろん、プランニング時点でのアロケーション基準も曖昧になり、結果テレビCMとデジタル広告との統合はなかなか進まなかった。SASの登場は、この「テレデジの統合戦略」を推し進められる絶好のきっかけとなると考えている。

図2

DI.ではSASに搭載される標準的なデータをそのまま利用するだけでなく、従来はデジタル広告でしか使用できなかったセグメントをSAS側に連動させたり、SASのセグメントをそのままデジタル側でも活用できるようにしたりすることを行っていく。テレビCMとデジタル広告を「同一セグメント化」することは、テレデジ投資効率の比較面でも、運用面においてもよりわかりやすくする。

最後に、DI.がテレビCMにおいて正しいオプトインのパネルデータに拘るのは、企業の善良な広告活動では消費者が嫌がることはしてはならないという上位の理念からである。(テレビ視聴データと個人プロフィールを勝手に繋げることには問題が多い)まずはCMプランニングの精度を高め、GRP過多によるオーバーフリークエンシーなどを削減し、テレビやテレビCM(広告)離れを避けねばならない。その面でもSASを活用していきたい。

楳田 良輝

*本ブログはGALAC 2020年3月号特集「劇変!視聴率 変革!広告ビジネス」(放送批評懇談会発行)への寄稿を再編集・加筆したものです。

 

エリアアロケーションを考えてみる。

最近多くなってきたのが「テレビ×デジタルの最適アロケーション比率は?」というご相談です。しかし我々は、テレビCMとデジタル広告の最適なアロケーション比率を全国一律で最初に求めるのではなく、まずはブランドやキャンペーン毎に各エリアに対する広告予算のアロケーションが行われた上で、さらにテレビCMとデジタル広告の予算比率の最適化を行うべきという考え方を持っています。私もコンサルタントとして、全国均一にテレビ×デジタルの広告予算のアロケーションを行うことは少々乱暴であると常々アドバイスをさせていただいています。今回は「エリアアロケーション」をテーマにブログにまとめてみたいと思います。

■エリア別の投下量とパーコスト(%コスト)の見直し

エリアアロケーションを行うにあたって、まずテレビCMのエリア別投下量と金額の見直しを行います。通常、TVスポットCMに必要な金額は、投下エリアの世帯数(東阪名では人口数)1%に対する購入単価(%コスト)と購入量(GRP)で決まります。当然、%コストはエリア毎に異なります。この単価をあらためて見直すことが必要です。これは単純に%コストを引き下げる、という意味ではありません。

また%コストは、同じエリアであっても広告主やテレビ局によっても異なります。その単価決定には多くの付帯条件・要素があるため何をもってして一番正しいのかは言い難いですが、もし1人あたりに期待する広告効果が全国のどのエリアでも同じであるならば、その単価は同じであるべきでしょう。逆に違う場合はその差が勘案された上で%コストの正当性を見極めなくてはなりません。参考例として、期待値がどのエリアでも同じだと仮定して、全国のTVスポットCMの%コストから1,000人あたりの「テレビCM出稿単価」を図1で比較してみます。

図1 テレビCM出稿単価(1,000人あたり)


* 1,000人あたりのテレビCM出稿単価は、これまでの経験値に基づき本ブログご説明用に試算。例:関東地区の%コストを約20万円(個人全体)。1,000人あたりの人数は5歳以上男女(平成30年1月1日住民基本台帳をベースに独自試算)

 

地上波の民放が1局しかない徳島県を除くと、関東エリアが最も高い出稿単価となっています。しかし、次いで高いのが必ずしも関西や中京エリアの人口が多い都市圏でないこともわかります。

■放送エリアとマーケティングエリア区分

現在、日本国内のテレビ放送(地上波)は32の放送エリアに分かれています。テレビCMの出稿単価を比較する際には、通常この32区分で比較することになります。しかし、世帯比率で全国の約35%、人口比率で約34%を占める関東エリア1都6県と、例えば世帯数・人口比共に5%未満となる県単位のその他エリアとを横並びで比較することは、日々多忙なテレビバイイング担当者の実務作業の中では現実的に少々厳しいと思います。

また、32エリアはあくまで放送法などで設定された区分であり、必ずしも広告主が求めるマーケティングエリア区分と合致している訳でもありません。そのため、エリア別の最適な投下量やその単価の見直しなどは容易な作業ではありませんでした。

エリアアロケーションを考える際には、全国のテレビ個人視聴量を算出し(2020年4月より個人視聴率の測定も全国で始まりました)、またこれまで放送エリアをまたいでは計算できなかった*テレビCMの投下量効率を広告主の任意エリアに再区分して、新たにテレビCMの最適配分のための指標を試算します。*GRPがなぜ放送エリアをまたげないかは別の機会に。

オリジナル区分の1例

■エリア毎の投下コスト比率は最大3倍にも

例えば、広告主の持つ8つの支店や営業所エリアに再区分してみます。この8エリアに仮に世帯1,000GRP(個人全体だと約500GRP)のテレビCM投下を行った場合、エリア別人口でみた1,000人あたりの投下コストは図2のグラフとなります。

図2 エリア別人口でみた1,000人あたりの投下コスト(全国均一投下量)

エリア毎の投下比率にはかなりの差があります。もちろん、エリア毎の販売数量やシェア、営業戦略的に強化すべきエリアの有無など、任意変数を加える場合もありますが、仮に人数あたりの広告の期待値が同等であるとすれば、現状1,000人あたりの投下コストには最大約2倍の開きがあることになります。この投下コストの差が意図的に望んだものであれば(そういう場合も多いとは思います)、その理由を論理的に説明、客観的に把握が出来る状態にしておく必要があります。また、このようにテレビCMを全国一律GRPで行う広告主もありますが、エリア毎にGRPに増減をつけている場合も少なくないはずです。その場合、この差はさらに図3のように変化します。

図3 エリア別人口でみた1,000人あたりの投下コスト(エリア別増減あり*)

このような配分では、1,000人あたりの投下コストが最も高くなっている首都圏(1都3県)と、逆に低い東北や九州とでは3倍以上の開きがあることになります。もちろん、首都圏の人が自社のその商品を東北や九州より3倍多く買ってくれるポテンシャルがあればそれでも問題ないでしょうし、逆にそうあるべきです。しかし、もしそうでないのであれば、エリアアロケーションのひとつの視点がここにありそうです。例えば、軽自動車の世帯あたりの保有台数は、首都圏よりもそれ以外のエリアの方が圧倒的に高くなっていますので、このような比率であれば即座に修正が必要です。

* エリア毎の投下量を関東(1都6県)・関西(2府4県)・中京(3県)は1,200GRP、主要エリア(札・福・仙・広)は800GRP、福井・徳島・佐賀・宮崎を300GRPとして、その他地区は500GRPで試算しました。ただし、この場合も合計投下コスト(全国)は世帯1,000GRP全国均一の場合とほぼ同額です。

■%コストの引き下げが目的ではない

では、どうするべきか。「首都圏(関東地区)の%コストをもっと下げてもらえばいい」と考えるのは、後に浅慮を悔いることになります。テレビCM(特に現状の地上波)は放送枠が有限であるため、安くたくさん買うことが必ずしもテレビ局には喜ばれません。また、テレビCMプラン(線引き)通りにアクチャル比率100%を獲得することだけを宣伝部(バイイング担当者)がKPIにしてアクチャルで広告代理店に握らせると、ショートすればサービス枠を提供してもらうだけ、という対策だけに陥ってしまっているのは中長期的な解決策となっているともいえません。
テレビCMはひとつの視聴率しか無かった時代から、新たなに使える指標がどんどん増えてきています。それらをもっと上手に活用していくことで、真の「テレビ×デジタルの最適化」が達成できると私は考えています。そのために、特にテレビCMコストがマーケティング費用の大部分を占めている広告主においては、まず「エリアアロケーション」へ取り組まれることをご提案します。

少し事例的なモノを整理してみました。


◆エリアアロケーション<参考例> ①軽自動車の場合

軽自動車(乗用)の新車販売での参考例です。図4は、2018年1月〜12月の軽自動車新車販売台数(一般社団法人 全国軽自動車協会連合会調べ)とターゲット人口(20〜69歳男女に仮定)、テレビCM投下コストのそれぞれのシェアを比較したものです。

図4 エリア別の人口・投下コスト・消費量のシェア比較

ここでは全エリアに世帯1,000GRP(関東地区は個人全体約510GRP)で試算をしています。人口シェアに対して、首都圏エリアを除きほぼスライドしてテレビCMも投下されています。しかし、販売台数シェア*と比較すると、十分なエリア毎の適正配分が行われておらず、市場規模に対して順応できていない可能性も高くなります。

* 販売台数シェアは個別メーカーのシェアではありません。

 

また、1,000人あたりの「軽自動車の新車販売台数(乗用)」と100台販売あたりの「投下コスト」(テレビCM)を比較したグラフは図5のようになります。エリア別の総額(投下コスト合計)でなく、効率性で比較した場合にも少し問題があるといえます。

■新車販売台数とテレビCM投下コスト比較
販売台数では平均を大きく下回り、投下コストでは逆に上回エリア

図5 エリア別テレビCM投下コストと新車販売台数の比較


上記8区分だけでなく全国を任意のエリア数で区分することも可能です。(推奨は営業拠点区分などですが)例えば、自動車では図6のように「12区分*」まで細分化し、メーカー別の販売台数合計とシェア、テレビCM投下コスト効率を比較することも可能です。

* 8区分→12区分:関東→首都圏と北関東、 関甲信越→北関東と甲信越、東海北陸→東海と北陸、中四国→中国と四国

 

図6 メーカー別の新車販売台数とテレビCM投下コスト比較

* データ元:総務省「平成30年1月1日住民基本台帳」、 全国軽自動車協会連合会「軽自動車新車新規車種別・銘柄別・都道府県別検査(販売)台数」にオリジナル指標を加え独自試算

 

エリアアロケーションを考える際には、試算表・計算式を用い、放送エリア別の%コストを都道府県に分解したり、逆に任意の営業拠点エリア(支社・支店管轄)で統合して効率計算を行ったりすることが可能です。自社の営業エリア区分や、商品・ブランドに合ったデモグラ別ターゲット数、市場規模なども変数として勘案することで、全国のエリア適正コストの再検討を行っていけます。

図7 エリアアロケーション用の任意エリア&都道府県比較一覧(軽自動車)


◆エリアアロケーション<参考例> ②ビール飲料の場合

私が特にエリアアロケーションを検討してみたい「ビール飲料」での参考例です。図8では、国税庁の平成28年度分「酒類販売(消費)数量等の状況表」を元にテレビCMの投下コストと比較してみます。この例ではテレビCMの投下量を全国一律ではなく下記の比率で試算しています。ただし、投下コスト合計(全国)は、世帯1,000GRPを全国均一で投下した場合とほぼ同額です。

図8 エリア別の人口・投下コスト・消費量のシェア比較


* 関東(1都6県)・関西(2府4県)・中京(3県)は1,200GRP、主要エリア(札・福・仙・広)は800GRP、福井・徳島・佐賀・宮崎は300GRP、その他地区500GRPで試算

 

今はコロナ禍の外出自粛要請もありますし、何よりもご自身の健康のために「外飲み」をされることをお控えいただきたいですが、元来は仕事終わりの “旨い” ビールは、必ずしも家(居住エリア)だけで飲まれるものではないため(家庭用と業務用の消費量は半々)、都市圏ではその中心となる都府県での消費量が大きくなります。しかし、全国8エリアに区分するとターゲット人口比率とビール消費量比率は概ね近いことがわかります。ですが、テレビCMに掛かっている投下コスト比率には少々偏りがありそうです。消費財(CPG)の場合、すでにテレビCMが全国一律GRP投下でない場合も少なくないですし、エリア毎のマーケットシェアの影響や戦略的なコスト増減も当然あります。また流通対策上、テレビCM投下が不可欠である場合もありますが、この効率性を把握して行われるメディアプランニングと、そうでないプランニングとでは大きな差が生じると考えます。

■ビール消費量とテレビCM投下コスト比較(1,000人あたり)
首都圏と九州・沖縄では、消費量は1.3倍だが、投下コストでは3.5倍に

図9 エリア別のビール消費量とテレビCM投下コスト比較

ビール飲料向け分析では「20歳以上男女」をターゲットとして、エリアアロケーションを検討する任意の営業拠点を8エリアに区分して⽐較をしています。このように自社の営業エリア区分や、商品・ブランドに合わせたデモグラ別ターゲット数、市場規模などを変数として勘案することで、エリア別のテレビCM適正コストを再検討することが可能になりそうです。

図10 エリアアロケーション用の任意エリア&都道府県比較一覧


■テレビCM効率の意外な指標

テレビCMが特定エリアに集中する傾向から発生する過剰コストや偏りを再精査し、「全国エリア=総人口」の視点で投下コスト効率を最大化させるコンサルティングを行っています。広告予算はこれまで意外にも比例配分となっていなかったり、自社戦略に則った適正配分が上手く行えていなかったりすることが少なくないようです。

デジタルインテリジェンスでは、テレビCMとデジタル広告の最適なアロケーション比率は全国一律で最初に求めるのではなく、まずはブランドやキャンペーン別に各エリアに対する最適な広告予算のアロケーションが行われた上で、さらにテレビCMとデジタル広告の予算比率の最適化を行うべきという考え方を持っています。「エリアアロケーション・コンサルティング」では、各エリアに対する投資配分を再算出し、最終的にブランドごとのテレビCM×デジタル広告のリプランと実行までをお手伝いします。

楳田 良輝

*本ブログはオリジナルレポート「エリアアロケーション・コンサルティングのまとめ」(2019年)を再編集・加筆しています。

テレビCMとは〜視聴率とルールの話。

我々コンサルタントにとって、参考にするテレビCM視聴率の選択肢がいくつか増えてきています。視聴率と聞いて一番馴染みがあるのは「世帯視聴率」だと思いますが(昨夜の◯◯ドラマの視聴率は**%!などで見ますね)、テレビCMの世界ではこの世帯視聴率ではなくて「個人視聴率」が徐々に中心になってきています。また、録画して観られた「タイムシフト視聴率」も最近はよく耳にしますし、専門的には「CM視聴率」や「視聴質」というような指標も出てきました。

しかし、この視聴率で使われる数字や、もっと遡ると「テレビCM」に関わるいろいろな言葉などは、ちゃんと理解されないまま使われていることも意外と少なくないようです。今回は昨年、私がとある説明会で使用した資料を引っ張り出しながら、少しまとめてみます。説明会がいつの季節だったのかは覚えていないのですが、参加いただいた方は宣伝部だけでなく、営業や管理、製造部門の方もいらっしゃったと記憶しています。「テレビCMとは」を簡単にポンチ絵付きで解説しました。

テレビCM(テレビ広告)の変なルール

「変なルール」というのは関係者には失礼な気もしますが、自分自身も含めテレビCMに関わってきた人間には当たり前のこと(話)なんだけども、普通は知らないでしょう、興味ないでしょう、という意味合いです。これまでテレビCMに関わってきていない方々にもなるべくわかりやすいように書きました。

世帯視聴率と個人視聴率

馴染みがあるのは世帯視聴率。視聴率調査自体の歴史は大変長いですが、現代版の視聴率測定の開始は1997年からです。「ピープルメーター(PM)」という専用の機械で調査世帯からデータが収集されます。ピープルメーターですから個人に紐づいた測定が行われている訳ですが、視聴率の評価では個人でなく世帯が長らく使われてきました。それが近年では「世帯から個人へ」変わりつつあります。

この視聴率はテレビCMの世界では「GRP」という特殊な3文字略語で表されます。「1,500GRPのテレビCMを出すと1,500万世帯に広告が流れるの?」「世帯から個人に指標が変わるというのはメートルがヤードに変わったという感じ?」とご質問を受けたこともありますが、どちらも正しくありません。GRP自体は絶対数を示す単位を持っていませんし、世帯から個人への指標変化は二次元間の変化というよりも、二次元から三次元への変化と考える方が近しいです。言うなら、メートルから「リットル」に単位が変わる程の大きな変化です。

 

視聴率「1%」の番組にCMを「1本」流すと「1GRP」

でも、このGRPがそもそもわかりにくい。GRPは「グロス・レイティング・ポイント」の略号です(覚える必要はありません)。日常生活では触れない単位ですねw。でも、意外と覚えると簡単。視聴率が「1%」の番組にテレビCMを「1本」流すと「1GRP」と数えます。視聴率が10%番組にCMを100本流すと1,000GRPですし、1%の番組であれば1,000本流せば1,000GRP(それは大変そう・・)と、理屈上同じ量になります。

厄介なのはGRPが%であることです。つまり、GRPは実数を持ちません。視聴率1%(1GRP)は関東では20万世帯ですし、関西では約10万世帯となります。これは個人視聴率でも同じこと。したがって、放送エリアの異なる視聴率を足しあげることはできません。関東で100GRP、関西で150GRPのテレビCMを流しても「合計250GRP」にはならないということです。

テレビCMのフリークエンシー

少しややこしくなってきます。

テレビCMは1回だけターゲットに当たってもあまり効果がないという考え方があります。もちろん、耐久消費財など、何度も何度もテレビCMを見ることで、必要となった時に選択肢のひとつに加えてもらえることは十分に考えられます。では、このフリークエンシー(略語でFQと表記)とは何でしょうか?

FQはテレビCMが当たった頻度です。「回」で表します。そして、一定数以上のFQがある場合を「n+」と表記します。(例:FQ5回以上の場合は「FQ5+」)世帯でも個人でも構わないのですが1世帯(1個人)に対してテレビCMが1回当たった場合はFQ1回となります。同様に2回ならFQ2回。全くテレビCMが当たらなかった場合はFQ0回(未到達)となります。

*ややこしければ、1人(1世帯)にリンゴを1個あげる、でも同じ。

フリークエンシーの続き

ここまでGRPとFQという二つの言葉が出てきましたが、これらを使った説明をします。4人(4世帯でも同じ)にテレビCMが4回流れると100GRPになります。2回づつ(合計8回)流れたなら、200GRPです。

*4人(4世帯)なので、リンゴは4個と8個。

でも、実際にはテレビCMはみんなに均等に当たる訳ではありません。たくさん見る人もいれば、全然当たらない人もいます。そうGRPは「述べ視聴率」なので、どれくらいの人(世帯)に当たったかを把握する必要があります。

仮に200GRPの場合。ひとり目にはFQ4回(テレビCMが4回)、ふたり目には3回、3人目は1回のみ、4人目は未到達だったとします。テレビCM回数は合計8回で変わりません。4人のうち3人しかテレビCMが到達(リーチ)していませんので到達率は「75%」になります。また8回のテレビCMが3人だけに当たっていますので平均FQは約2.7回となります。(実際に2.7回という人は居ないのに不思議な指標ですが)

そして検算すると、リーチ75%×平均FQ約2.7回=200GRPとなります。

テレビの世界は時間軸が違う

テレビ(CM)の世界では時計(時間軸)が特殊です。もちろん1日は24時間ですが開始は朝5時。夜は翌朝の4時59分までが1日となります。なので、26時とか28時などという普段は聞かない時間帯が出てきます。でも、まあ、日常生活で考えると夜中の0時を過ぎても「翌日」とは思ってないので、その方が実態には近いのかも知れませんね。

*テレビCMを打った際の効果として自社サイトなどへのアクセスを評価する場合、日単位でレポートを見ているとこの時間軸のズレが分析を惑わすこともあります。その昔は某大手ポータルサイトも0時換算ではなかった記憶がありますが、この数時間のズレが重要な時もありますので注意してください。

テレビCMの長さ(尺)

テレビCMの長さにはルールがあります。歴史的にはもっといろいろあるようですが、現在は「15秒」および、その15秒の倍数です。つまり多くは30秒、60秒、90秒。時には120秒なんていうのもあります。普段テレビを観ているとそれぞれがランダムに流れてきます。15秒より30秒の方が価値があるか、たくさん、深くメッセージを伝えるられるか否かの議論はおいておいて、テレビCMの費用対効果を計るためには「15秒換算する」という手法があります。

15秒CMよりも30秒CMは長さが倍違う訳ですから料金も倍高いです。それを「全て15秒CMだったとしたら」と計算する方法です。30秒CMを100GRPだけ流した場合でも「200GRP」と計算します。ただし、リーチやFQは変わりません。

テレビCMの買い方は2種類

少々長くなってきました。今回のブログの最後にします。テレビCMの買い方には従来2種類あります。基本的なバイイング方法です。ひとつはタイム(番組提供)、そしてもうひとつは「スポット」(%買い)です。それぞれ特長や購入できる条件が異なります。

タイムは基本指名買いです。お肉に例えるなら「私はロースが欲しいよ」「フィレだけちょうだい」と指定する買い方がタイムです。片やスポットは量り売り。いろんな部位を混じえながらもグラム(単価)での購入が可能です。部位の混じり方によってグラム単価はもちろん異なります。タイムは個別単価ですが最低半年間は買い続ける条件がつきます。スポットは随時適量で買えます。どちらがお好みかは人(広告主)によって異なるでしょう。

*でも最近、この2つの買い方に加えて「第3の選択肢」も出てきました。ご興味ある場合はこちらを。スマート アド セールス(SAS)

「テレビCMバイイング分析」説明会でお話した冒頭でのアイスブレイクをご紹介しましたが、今回のブログはここまでと致します。

長く続くコロナ禍の中で、これまで作った自分の資料をアーカイブだけに留めておかず公開しておこう思いました。どなたかの役に立つのか、誰の役にも立たないのかはわかりませんが、機会があれば、また続きもまとめてみたいなと思います。

楳田 良輝